フェルメール展と同時開催
先日、道立近代美術館(札幌)で「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」に行ってきました!
その際、同時公開されていた日本画家・羽生輝(はにゅう・ひかる)氏の展覧会も見ました。
こちらもとてもよかったので、レビューを書いてみようと思います。
「日本画家 羽生輝展 悠久の岬を望む」
フェルメールの展覧会をチェックするまで、私は羽生輝氏のお名前を存じ上げませんでした。
日本画といえば、東山魁夷氏や岩橋英遠氏などの作品も好きな私。
「せっかくだから、フェルメール展に行くとき一緒に見てみよう」と思ったのでした。
羽生氏は東京生まれですが、7歳で移り住んだ釧路を拠点に制作活動をなさっている方です。
北海道の浜辺や釧路湿原を題材とした絵を、たくさん描かれています。
入館した時、フェルメール展の入り口が少し混んでいたので、私は羽生展を先に見ることにしました。
「日本画家 羽生輝展 悠久の岬を望む」の会場は展示室Aです。
中に入ると、北国の風土や暮らしを感じさせる、力強いタッチの絵が並んでいました。
こちらの動画で、展覧会の様子が見られます。
↓北海道リモートミュージアム「日本画家羽生輝展 悠久の岬を望む」
展示は2フロアに分かれている
展示室は1Fと2Fに分かれています。
1Fの展示は、高くそびえる崖や、漁師小屋を描いたモノクロっぽい絵が多かったですね。
でも奥のほうには、美しいブルーを基調とした「水辺(釧路湿原)」という絵があり、オアシスのような雰囲気を感じさせました。(上記動画で1:13頃)
2Fに上がると、特徴的な大きな崖に加え、海外の風景や釧路湿原の景色を描いた作品を鑑賞できます。
作品から感じたこと
崖や岬を描いた作品は、サイズの大きさに加え、タッチの迫力に圧倒されます。
羽生氏の作品は、岬の突端に灯台や、電信柱のような構造物が描かれているものが多いですね。
これは…旗立て台?アンテナ?
なんとなく、十字架のようにも見えます。
はるかな空と海、どっしりとした大地。
その端に描かれた小さな構造物から感じ取れるのは、人間のささやかな暮らしの営み。
それはとてもちっぽけで弱いものだけれど、けなげで愛おしい感じがしました。
悠久の時間の中では、ひとりの人間の人生など、ほんの一瞬のこと。
でもだからこそ、泣いたり笑ったりして生きていくその瞬間が、貴重なのかもしれません。
絵を見ながら、ふとそんなことを思いました。
釧路湿原を描いた連作が見どころ
巨大な岬の絵の後に、釧路湿原を描いた連作(上記動画では2:59頃~)が現れます。
こちらは、暗い海や岬の絵からは一転、あたたかくやわらかい光に満ちています。
どこまでも続く釧路湿原、その上にぽっかりとうかぶ夕陽。
座って、ずーっと見つめていたい…。心が洗われるような、そんな絵でした。
この連作は、ぜひ生で見ていただきたい!
ポストカードも購入したかったのですが、すでに売り切れていたようで、お目当てのものは入手できませんでした…残念。
フェルメールを見に来たら羽生展もおすすめ
同時開催のフェルメール展に負けず劣らず、羽生輝展もとても見ごたえがありました。
個人所蔵作品も多いので、代表作が一同に会するこんなチャンスは、なかなかないはず。
フェルメール展に比べると入場者は少なかったですが、そのぶんじっくりと作品を堪能できます。
私は羽生展を見て大満足でした。
フェルメールを見に行くなら、羽生展もぜひ!おすすめです!
〈「日本画家 羽生輝展 悠久の岬を望む」〉
※道立近代美術館で2022年4月16日~2022年6月26日まで開催