風水はしょせん、占いやおまじない?
家相や風水の教えには、科学的根拠がよくわからないこともたくさんあります。
だからこそ「迷信」「占い」と言われてしまうことも多いのでしょう。
「風水?そんな迷信みたいなこと…」
「気にしてたらまともな家なんか作れない」
「しょせん金儲けでしょ?」
…そんな声も、よく耳にしてきました。
風水が「非科学的・迷信っぽい」と言われる理由のひとつに、おまじないっぽい言い伝えをあげる人もいます。
たとえば風水でよく聞くフレーズ「西に黄色」。
「西に黄色いものがあると幸運を呼ぶ」「金運がアップする」という教えですが、確かに「なぜ?どういう根拠で?」って思いますよね。
でもその言い伝え、本当に何の根拠も、取り入れるメリットもないのでしょうか?
「西に黄色」が意味することとは
ネットでググってみると、この言い伝えの由来は陰陽五行説や故事など、諸説あるようですが…。
私が以前聞いた教えは、こうでした。
「西側に金色の実をつける木があると縁起がいい(柑橘系の木を植えると吉)」
「お金持ちの家は西側に実のなる木を植えている」
柑橘系の木といえば、日当たりを好む常緑樹です。寒冷地以外なら、一年を通して緑の葉を保ちます。落葉が少なく、手入れも楽です。
常緑樹を西に植えれば、強い西日を遮ってくれます。暑さを和らげてくれるだけでなく、日焼けによる家具等の劣化も軽減でき、財産を守るというメリットにもつながりますね。おまけに美味しい実がなるなんて、さらにうれしい…。
裕福な家なら、庭師など知識のあるプロにお願いして、こうした知恵を授けてもらうこともできたでしょう。それで、「お金持ちの家は西側に実のなる木を植えている」と言われるようになったのかもしれません。
そう考えると「西に黄色」も、単なるおまじないではなく、生活の知恵だったのではないかな…と思えてきます。
“ラッキーカラー”にも意味が
家相や風水では、方角に応じておすすめの色などがあります。これも単なる占い・おまじないではなく、色による心理的効果を狙っているものと思われます。
たとえば、東南の方角には、緑色が吉と言われます。日当たりがよく、居間が配されることが多いので、安らぎを感じさせる緑が適しているのではないでしょうか。それに、東南は観葉植物もよく育ちそうですしね。
また冬場に寒くなりがちな北側には、ピンクなど暖色を配すると吉、とされます。ピンク色は温かみを感じさせ、寒々しい印象を和らげる効果があるからでしょう。
色彩の科学的な効果など、まだ知られていなかったであろう昔に、風水がこうしたことに着目していたことに驚かされます。
自分の住まいに関心を持つきっかけに
「西に黄色」と聞いて初めて、「え、うちの西側っていうと、どのあたり?」と、正確な方角を気にした人も多いのでは?
「西に黄色」がきっかけで方角を意識し、グッズを置こうと片付けを始めた人もいたかもしれません。
「運がよくなる」と言われれば、気になるのも当然のこと。片付けようとか掃除しよう、という気持ちも自然と生まれます。
家相や風水によって、自分の暮らす場所に関心を持ち、暮らしを向上させることができるとしたら、それはとても大きなメリットです。
何より「西に黄色のグッズを置いたから、何かいいことありそう」と思うこと自体が、幸運を引き寄せてくれるのだと思います。前向きな気持ちを持つことで、見える景色も、出会うものへの印象も、変わってくるでしょうから。
「風水?単なる迷信」とスルーせずに、気持ちをUPしてくれるきっかけとして、楽しんでみる。そんなふうに暮らしに風水を取り入れてみるのも、悪くないと思います。