法定後見人に“なる”と“つける”は違う

緑の中を歩く夫婦 暮らしノート

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後見人になる?つける?

後見人の申立てを自分でやってみた話を以前書きました。

後見制度についてまったく知識のない人が、「混同しているのでは?」と思うことのひとつが、タイトルの「後見人に“なる”と“つける”は違う」ということです。

私もそのあたりがよくわかっていませんでした。でも今回、実際に申し立てをするために勉強してみて、「あ、そういうことか」とわかったので、書いてみます。

後見人をつけるには、まず「申し立てをする」こと

後見制度を利用するには、まず「制度を利用しますよ!」という「申し立て」をしなければなりません。

たとえば、認知症や心身障害などで判断能力が低下した人(仮にAさんとしましょう)に、後見人が必要だとします。

申し立てとは、「Aさんに後見人をつけてください」と、家庭裁判所にお願いするということなのです。

メガネ

「申し立て」は、できる人が限られます。ざっくりいうと、本人・配偶者および4親等以内の親族、あるいは市区町村長、という感じです。

いわゆる「身寄りのない人」の場合は、市区町村長(つまり役所)が申し立てを行うことができるようになっています。

後見人になる、とは

一方、後見人に「なる」ことはまた別な話です。

後見人になるための特別な資格はありません。法律で定められた「欠格事由」がなければ、誰でも後見人になれますが…実際、誰が後見人になるかは家庭裁判所が決めます。「自分がなりたい!」と希望しても、その通りになるとは限らないってことです。

これは、申し立てを実際にやってみないと、どうなるかわからないそうです。

自分がなろうと思って申し立てをしたのに、司法書士さんがやることになった…とか。
社会福祉士さんを希望したのに、弁護士さんになった…とか。いろんなケースがあるそうです。

もし希望が通らないからといって、それを理由に「やっぱり後見人つけるのやめた」というのは認められないとのこと。

私は申し立てのみを行った

私は今回、親族に「後見人をつける」ための申し立てをしましたが、自分が後見人になろうとは思いませんでした。

被後見人は遠方住まいの、しかもしばらく疎遠だった親族です。私が自ら後見人になるのは無理でした。ですので、申し立てのみ行い、実際の後見業務は専門家にお願いすることにしたのでした。

後見人になる、ということは、被後見人が亡くなるまでずっと、その責任が続きます。財産管理に身上監護という務め、そして年に1回収支をまとめて裁判所に報告するなど、事務作業も必要になります。

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「役所にすすめられたから…」とか、「銀行の取引に必要だからとりあえず…」と、内容をよく理解せぬまま後見人になってしまうと後々大変ですので、ご注意ください。(まあ手続きの負担や責任を考えれば、気軽に引き受けられるようなものではありませんが)

そして日々、後見人としての任務に携わっていらっしゃる皆様。大変なお仕事、お疲れ様です!