後見人決定には時間がかかる
法定後見制度を使うとき、そのハードルとなるのが「時間がかかる」ということではないでしょうか。
私が初めて後見制度について知った時にも、「申し立て後、数ヶ月はかかる」「下手をすると半年かかるかも」という話を聞きました。
私が申し立てをした時は、申立書提出から後見人の確定まで、1ヶ月半ほどかかりました。申立書の準備期間を含めると、トータルで2ヶ月ちょっとかかった計算です。それでも早いほうだと言われました。
審判確定前に、被後見人が亡くなることも
被後見人となるのは、高齢者が多いです。そのため、あまり時間がかかると審判前にお亡くなりになる…というケースもあるそうです。
そのため、申立書提出後は「お願いだから後見人が決まるまで無事でいて!」と天に祈りましたね…。
もし途中で亡くなってしまったら、申し立てに費やした時間とお金と労力が、すべて水の泡ですから。
審判が確定するまで、気が気じゃありませんでした。ほんと、食事もろくにのどを通らず、夜も眠れずという感じで、数kg痩せましたよ…。確定後、すぐリバウンドしましたが(汗)。
少しでも早くと思うなら
後見人を少しでも早く…と思うなら、いくつかポイントがあると思います。
まずは申立書の準備を早く行うこと。一日でも早く提出するに越したことはないです。
あともう一つは、申立書をきちんと作ること。書類の抜けや不備があると、確認や書類のやりとりが増えたりして時間がかかるそうです。
以上2つのポイントをクリアするために、具体的にはどうしたらよいでしょうか。
サポートしてくれる存在を見つける
申し立てそのものを司法書士などプロに頼めば、素人が自分でやるより確実でスピーディにできます。ただ、お金がかかりますね。(10万円~)
お金を節約したいなら、自治体などでサポートしてくれる部署を探して、教えを請うのがおすすめです。私は社会福祉協議会で、無料で教えてもらいました。申立書類一式もここでいただくことができました。スタッフも皆さん親切でした。
家庭裁判所提出後、追加書類や確認連絡などはありませんでしたので、申立書もミスなくできていたと思います。
診断書を早く依頼する
書類作成で時間がかかるのは、医師の診断書(および本人情報シート)と、親族(推定相続人)の同意書だと思います。(申立書用の指定のフォームがあります)
何よりも、できるだけ早く医師に診断書を依頼することが重要です。法定後見には「後見」「補佐」「補助」の3つの類型があり、診断書がないとこのうちどれに該当するかが決まりません。ですので、診断書がまず最優先となります。
私は、後見制度を利用すると決めた翌日に、すぐ診断書の依頼をかけました。ダメ元で「1週間以内でお願いできませんか?」と泣きついたところ、間に合わせていただけました。被後見人の入院先の主治医だったので、素早い対応が可能だったのでしょう。
さらに、診断書で「判断能力がない」と明記されていると、後日の「鑑定」も不要とされることが多く、審判の早さにつながるそうです。認知症の診断に使われる「長谷川式スケール」の点数も目安になるようでした。
※私の親族の場合は10点以下だったため、サポートしてくれた社協の方に「おそらく鑑定作業も不要になるだろう」と言われました。要鑑定になると時間も費用も余分にかかりますので、気になりますよね。診断書が早く入手できると、そうした予想にも役に立ちます。
親族の同意書を迅速に集める
親族の同意書も、準備に手間がかかります。
親族(推定相続人)一同には、電話やLINEで「同意書を郵送するからすぐに署名捺印して!」と連絡しました。
親族が高齢だと、書き方の指示や代筆が必要になることもあります。私は書類のサンプルを作って「この通り書いて」と同封しました。返信用封筒も入れておくとスムーズです。
今は郵便の配達に日数がかかりますし、紛失や誤配を防ぐために、速達や特定記録を使うのが安心です。
必要書類は種類が多い。効率的に集めよう
並行して、市役所や法務局で戸籍など必要書類を集めます。
令和6年から戸籍の広域交付制度がスタートしたので、以前よりは楽になりましたが…すべての書類が最寄りの役所で入手できるわけではないです。郵送で取り寄せる場合は、すぐに依頼をしておかないと時間がかかるので注意。
さらに、「登記されていないことの証明書」も必要です。すでに後見制度を利用していないかをチェックするためのもの。これは戸籍など書類を揃えて、法務局で出してもらいます。
即日交付は、北海道では札幌など4カ所の窓口に限られます(郵送だと東京の法務局のみ受付)。私は札幌まで行って、直接もらってきました。交通費はかかりましたが時間を買ったと思って…うう(こういう細かい費用負担が地味に大きい)。
依頼すべきものが終わったら、あとは通帳や公共料金の領収証などを集め、財産目録や収支予定表を作ります。完璧である必要はなく、わかる範囲でいいそうですが、ここをきっちり作っておくと審判も早いのではと思いました。
後見人の候補者を推薦する
自分ではなく、専門職後見人をつけたい場合、候補者が決まっているほうがスムーズだと聞きました。
私のケースでは、候補者を事前に選べませんでした。そのため家裁が弁護士会や司法書士会に推薦を依頼したので、多少日数がかかったようでした。
もし身近に信頼できる専門職をご存じなら、打診してみるのもいいかもしれません。