戸建てVSマンション、どちらがいい?
マイホーム、戸建てがいいかマンションがいいか、よく議論になりますね。
戸建てを選んだ我が家ですが、その理由のひとつが、ある不動産屋のおやじさんの言葉だったんです。
それは「買うなら、地べた」というひとことでした。
「買うなら、地べた」
もう30年ほど昔のことです。
私たち夫婦がまだ若かった頃、一緒によく行く飲み屋さんがありました。
そこのマスターは、飲み屋さんのほかに、不動産業もやっていました。
当時、賃貸アパート暮らしだった私たち。マイホームの話になり、夫がこうたずねました。
「マスター、戸建てとマンション、資産価値としてどっちが得ですかね?」
するとマスターは、
「そりゃあ、土地つき一戸建てさ。買うなら “地べた”だよ!
不動産屋のおやじが言うんだから、間違いない」と、きっぱり。
そしてボソッと、
「マンションは、借りて住むならいいけど…。あんまり大きな声じゃ言えないけどね」
マンション購入のデメリットとは
「え、マンションはだめですか?」
私たちが聞くと、マスターはこう続けました。
「うん。マンションを購入しても、戸建てと違って、土地も建物も自分だけのものにはならない。利用する権利を買うだけだ。だから将来マンションに何かあったとき、何をするにも他の住民と話し合う必要がある。そのへんをよーく考えたほうがいい」
それからまもなく、「マスターの言うとおりだ…」と実感することが起きました。
1995年の、阪神大震災でした。
住民の合意という大問題
地震で被害を受けたマンションは、そのまま住み続けるわけにはいきません。修繕するか、解体して建て替えるか、急いで決めなければいけないのです。
しかし、決めるには住民たちの合意が必要。それがどれほど大変なことか…。
話し合いが難航し、方針を決められないマンションが続出したとニュースで報じていました。
そもそも大きな災害の直後に、落ち着いて話し合いをする余裕なんて、あるでしょうか。
かといって、住めないなら売却…ということも、その状態では無理。
東日本大震災後にも、同じことが起きていましたね…。
災害がなくても、大規模修繕は必要
幸いにして長年災害に見舞われずとも、マンションが老朽化すればどうでしょう。
建て替えか、大規模修繕か、やはり選択を迫られることになります。
その際、スムーズに住民の合意がまとまるのか。
十分な修繕積立金が、あるのかどうか。
分譲マンションのリスク・デメリットは、災害の有無に関わらず存在するのです。
一戸建ては自分たちで方針を決められる
もちろん、戸建てでも、災害などで住めなくなるリスク・売買が難しくなるリスクは当然あります。
しかし、そのマイホームや土地をどうするかについて、他人様ともめる必要はありません。所有者がそのときの状況に応じて、「自分で」判断することができます。
戸建てVSマンションの比較は、いろんなポイントがありますが、私たち夫婦が重視したのは、「単独所有できるから、戸建て」という点だったと言えるでしょう。
戸建てかマンションか…マイホーム購入には、住み心地や暮らしの利便性以外の要素も、考えてみる必要があるのではないでしょうか。