我が子の不登校や問題行動に悩む人へ:ブックレビュー『去られるためにそこにいる』

女生徒の後ろ姿 暮らしノート

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子育て世代におすすめしたい本

我が家は50代になってから建てたので、子育てが一段落してしまっていますが、基本的にマイホームを建てる年代は、子育て世代が多いことでしょう。子育て世代のお父さん・お母さんにご紹介したい本があるので、よかったら少しおつきあいください。

ご紹介したいのは、『去られるためにそこにいる』という本です。

タイトルにこめられた意味

“本書のタイトル『去られるためにそこにいる』は、心理学者エルナ・ファーマンの論文”Mothers have to be there to be left“(母親は子どもに去られるためにそこにいなければならない)」からとっている。”

引用:「去られるためにそこにいる」田中茂樹著 日本評論社 7p

私はこの言葉(” Mothers have to be there to be left“)を初めて知ったとき、強い衝撃を受けました。

寂しく、せつない言葉ですね…子どもが巣立っていってはじめて、「あなたの子育てはうまく行ったね!あの子はちゃんと去っていったよ!」ということになるのですから。

アラフィフ世代は子どもの巣立ちを経験する年頃

この本を読んだのと時を同じくして、私の甥っ子が一人暮らしを始めた、と妹から聞きました。一人暮らしするアパートへと甥っ子を送り出した妹は、「寂しくて涙が出た」と言います。私はそれを聞き、妹がしっかりと親としてのつとめを果たしたのだ…と称えてあげたい気持ちになりました。

思い返せば、自分が高校を卒業して一人暮らしをした時、やはり親は涙ぐんでいた記憶があります。

40代後半から50代といえば、子どもが進学や就職で、家を離れることも多い年頃。考えただけで、あるいは思い出すだけで涙が出る…という人もいるのではないでしょうか。

子育て真っ最中は悩みも多い

しかし、まだ30代~40代の頃…子どもが小学校~高校くらいの時は、ただただ余裕がなく、子どもに振り回されている時期です。たとえば、「学校へ行きたくない」と言われてあたふたしたり、問題行動をおこした子どもにとまどったりということは、しばしばあることです。

公園で遊ぶ子供
子育て真っ最中は悩みも多い時期

「この子の将来はどうなるのだろう…こんなことじゃちゃんとした大人になれないかも…」と、不安ばかりがぐるぐると頭をめぐります。

そんなとき、つい「こうしなさい」「なんで〇〇しないの」と子どもを「指導」したくなります。でも、それが必ず正しいことなのかどうか…。この本を読むと、考えさせられます。

子ども自身の力を信じる大切さ

子どもの不登校に悩む親の相談をよく担当した。ほとんどのケースで、親は朝から晩まで子どもに指示や命令を出し続けていた。(中略)子供に幸せになってもらいたいと願うがゆえに、親は、自分がよいと思う方向に子どもを導こうとする。また、「問題だ」と自分が考える点を改善しようと、あれこれ口出しをする。
しかし、そうしなくても、いや、そうしないほうが、子どもは生き生きと自分の力を発揮して、自分で幸せになっていく。

引用:「去られるためにそこにいる」田中茂樹著 日本評論社 3p-5p

子ども本人の中にある「成長しようとする力」を信じて待つことが、情報のあふれるいまの時代には、できにくくなっているのかもしれません。親の「こうあるべき」にしばられて、自分のしたいことができない、いや、何をしたいかすらわからなくなる子もいるでしょう。

その結果、その子はいつまでも巣立てずに、悩み苦しむことになる…。

そうならないようにどうしたらいいのか。この本は、それを考えるきっかけをくれるのだと思います。

りきんだ肩の力を抜いて

悩み、もがいている子どもと向き合って、信じて見守るのはときにキツイこともあります。

でも、親が「何とかしてやろう、どうにかしてやろう」と思うことが、逆効果なこともあるのですよね。

「この子の人生は、この子自身のものだから」

そう認めたら、少しは楽になれるのかもしれません。

今まさに、悩んでいるお父さん・お母さん。いろいろ努力してきたのに、うまくいかず疲れ切っているなら、一度読んでみることをおすすめします。

りきんだ肩の力を少し抜いて、子どもとの関係を考えてみる。そんな気持ちになれる本です。