亡くなった人の印鑑や、欠けて使えなくなった印鑑…不要になった印鑑、処分をどうしますか?
そんなときには、「印鑑供養」「彫り直し」という選択肢もありますよ!
亡くなった父の印鑑をどうするか
私の父が他界したとき、悩んだのが「遺品の印鑑をどうしよう…」ということでした。
父が使っていたのは、象牙の実印と銀行印、認印の3本がセットになったものです。
姓だけの銀行印と認印は、兄弟に形見分けすることに。しかし実印は、姓だけでなく下の名前も彫られているので、そのままだと他の人は使えません。
かといって、捨てるのも忍びない…どう処分すべきかと検索するうち、「印鑑供養」という言葉を知りました。
印鑑供養とは
印鑑供養とは、持ち主が亡くなったり、あるいは欠けたり折れたりして使えなくなった印鑑を、神社などに持ち込んで供養していただくというものです。はんこ屋さんが取り次いでくれる場合もあるそうです。
うちの近くのはんこ屋さんに問い合わせたら、受け付けてくれるとのこと。
年に一度の「はんこの日」(10月1日)にまとめて供養してくださるそうで、祈祷料・供養料などの費用はかからないと言われました。
故人の分身として、大事な役目を果たしてきた印鑑ですから、丁寧に扱いたいもの。「印鑑供養」はありがたい方法!と思い、お願いすることにしました。
彫り直して使うという方法も
供養をお願いするつもりでお店に持ち込んだ印鑑ですが、店員さんは現物を見て、
「象牙の印鑑ですね。彫り直して、新しい印鑑として使うこともできますよ」
印鑑を彫り直して使えるなんて、私はそのときまで知りませんでした。
費用はサイズや材質によって異なるものの、15mm径の象牙の場合、彫り直し代は1万円前後でした。
もし同サイズの象牙の印鑑を新しく購入するなら、少なくとも2万円くらいはするとのこと。
とくに象牙は最近、取引が規制され入手しにくくなっているそうで、
「処分するのはもったいないですよ。彫り直して使うことをおすすめします」と言われました。
しかし夫も私も実印はもう作ってあるので、成人した子供の実印を作ることにしました。
成人し社会人となれば、いずれ車の購入や不動産の契約などで、実印が必要になることもあるでしょう。
安価な三文判でも印鑑登録はできますが、同じ印影が大量に出回っているのはセキュリティ上よろしくないし…欠けや割れなど耐久性の問題もあるので、きちんとした材質のものを作っておいたほうが安心です。
彫り直しは縁起が悪い?
「亡くなったお父様の印鑑を、お孫さんが引き継ぐのですね。お父様も、きっと喜ばれるでしょうね」と店員さんに言われて、私はちょっとウルっとしました。確かに…父は生前、孫を溺愛していましたから。
店員さんいわく、「彫り直しは縁起が悪いのでは?と心配されるお客様もいますが、むしろ家族の印鑑を大切に受け継ぐのはいいことだと思いますよ。“縁起が悪い”と言ったのは、新しい印鑑を高く売りたい悪徳業者だったのかも」と。
そういえば一時期、高額な印鑑を売りつける怪しいビジネスが話題になったこと、ありましたっけ…。
彫り直した印鑑は…
さて、彫り直しをお願いしてから一週間ほどで、新しい印鑑が完成しました。
彫り直すと数ミリ短くなってしまうそうですが、できあがった印鑑を見ても、言われなければ気づかない程度です。元々あったケースに入れても問題なし。
「おじいちゃんの形見」の印鑑なら、なんとなくお守りのような感じもします。我が子もきっと大切にしてくれることでしょう。作ってよかったなと思います。