田坂広志氏の本をまた読んでみた
先日、田坂広志氏の本を読みました。
それがとても印象的だったので、田坂氏の他の本も読んでみたくなりました。
今回読んでみたのは、『運気を磨く 心を浄化する三つの技法』(光文社新書)です。
風水も、環境をうまく生かすことで運気を上げようとするものです。
風水好きの私としては、このタイトルにとても興味をひかれました。
運気とは何だろうか
そもそも、「運気」とは何でしょう。
辞書では「人の運勢」とか「運命」、「めぐりあわせ」などと書いてありますが…。
「運気」の存在は、科学では証明されてはいません。でも多くの人が、その存在を信じていますよね。
悪いことが続くと、「運気が落ちてきた」と言ってお祓いをしてもらったり、良いことが続けば「運気がアップしてきた!」と喜んだりします。
できることなら良い運気を引き寄せたい…誰もがそう願っているはず。
だからこそ、お正月に初詣に行ったりお守りを買ったりするのでしょう。
風水を暮らしに取り入れるのも、そんな気持ちからだろうと思います。
でも、「運気」というつかみどころのないものを、どう引き寄せ、磨いたらよいのでしょう?
ポジティブに生きるために必要なこと
運気を上げるには、毎日ポジティブな気持ちでいること、とよく言われますね。
この本でも、やはりそうしたことを述べています。
ただ、他の本と違うなと思ったのは、「ポジティブでいるために、いかにネガティブな想念を消すかが大切」ということでした。
人は誰でも、多かれ少なかれ、失敗したことや後悔したこと、誰かに否定されたという経験があるでしょう。
あるいはネットやテレビからも、気が滅入るようなニュースや、不安につながる情報がたくさん流れてきます。
そうしたネガティブな想いは、気づかぬうちに、
「自分には無理…」
「どうせやっても無駄」
「よけいなことをしないほうが無難…」
という意識を心に刷りこんでいきます。
そしてその結果、人は自分の限界を自ら決めてしまうようなのです。
自己限定・自己否定がもたらすもの
私がこの本で、最も心に残った文章がこちらです。
「もし、いま、筆者が、地面にチョークで三〇センチ幅の二本の線を引き、あなたに、その三〇センチ幅の道を踏み外すことなく歩くように求めたならば、あなたが健常者であれば、何の問題もなく、その道を歩くことができるだろう。
田坂広志著『運気を磨く』(115ページ)から抜粋
しかし、もし、目の前にあるのが、断崖絶壁の上に架けてある三〇センチ幅の板の橋であったならば、どうか。
(中略)
心の中に不安感や恐怖心、自己限定や自己否定の意識を抱いた瞬間に、我々の能力はみじめなほど萎縮し、持てる能力を発揮できなくなるのである。」
断崖絶壁にかかる橋…私はたぶん一歩も進めないでしょう。
床の上なら、苦もなく歩けるはずなのに。
私たちは知らず知らずのうちに、自分の能力を限定している…
試してもみずに、自分には無理だとあきらめてしまう…
それはほかでもない、自分自身の思い込みによって、です。
だからこそ、できるだけネガティブな想念を消す、ということが大切なのでしょう。
ネガティブな想念を消す心の技法
ネガティブな想念を消すために、田坂氏は、
・第一「無意識のネガティブな想念」を浄化していく技法
・第二「人生でのネガティブな体験」を陽転していく技法
・第三「究極のポジティブな人生観」を体得していく技法
を紹介しています。
その具体的な方法としては、たとえば、
・自然の中に身を浸すこと
・ネガティブな言葉を使わない
・視点の転換によって、人生の解釈を変える
・自分の人生は、大いなる何かに導かれていると信じる
などがあげられています。
上記の方法はほんの一部。詳細はご自身でこの本をお読みになることをおすすめします。きっとそれぞれの人生によって、心に響くものが違うと思うので…。
「運気」が意味するもの
この本によって私は、「運気」の意味をあらためて考えさせられました。
運気を上げるといえば、宝くじが当たるとかラッキーなことが起きるとか、そういうことをイメージすると思います。
でも田坂氏が述べているのは、そういうことではないんですよね。
自分の持てる力を十分に発揮して、ありのままに生きていける。
自分の進むべき道に向かっていける。
そのように導く、あるいは追い風になってくれる存在が「良い運気」ではないのかな…この本を読んで、そう思いました。
少しずつでも、ネガティブな想念を消すよう心がけることで、自分らしく幸せに生きていけるのではないかなぁ、って。
日々降りつもる、ネガティブな想いを取り除き清めるように、ひたすらに心を磨く。
その結果、必要な時に、必要な人やものごとに巡り会える…。
だから、この本のタイトルは「運気を上げる」ではなく、「磨く」なのですね。
風水好きならずとも、何かしら気づきを与えてくれる本だと思います。また折に触れて、読み返したいと思える本でした。