「家を建てたら一人前」?
「家を建てたら一人前」という話をよく聞きます。
ほかにも「結婚しないと一人前とは言えない」とか「子供を産んでようやく一人前」というような言い方ってありますね。
でも…
そもそも、「一人前」ってどういうことなのでしょう。
広辞苑で調べてみたら、「おとなとなること。また、おとなとして扱われること」とありました。
家を建てないと、結婚しないと、子供を産まないと、おとなとして扱われない…?
そんな考え方はこのご時世、ちょっとどうかと思いますが。
一度きりの、自分の人生ですからね。それぞれの事情と考え方によって、いろんな選択肢を“選べる”ということが大切ではないでしょうか。一人前、にもいろんな価値基準があっていいはずです。
「家を建てたら一人前」と言われる理由は…
ただ、自分が家づくりを経験してみて「家を建てたら一人前」と言われる理由が、ちょっとだけわかった気がします。それだけ「家を建てること」は大変だ、と身にしみたからです。
お金がかかる
家を建てるには、まず多額のお金がかかります。住宅ローンを借りるにしても、誰もが希望通りの住宅ローンを組めるとは限りません。一定の条件(年収・勤務先や勤続年数など)を満たさない人には、銀行はお金を貸してくれないからです。
健康状態や、車など他のローンの有無なども影響します。いざマイホーム、と思ってから、「こんなはずでは…」とならないようにしたいですね。
無事ローン審査を通って家が完成しても、何十年もローンと固定資産税を支払い続け、いずれはメンテナンスにもまとまったお金がかかります。賃貸でもお金がかかるのは一緒ですが、マイホームのほうが背負うものは大きい気がします…。
さらに、老後に家をどうするかも気がかりです。子供がいても、将来どこでどう暮らすかはわかりません。不動産の相続が負担になってしまうケースもあります。
コミュニケーションが重要
お金のほかに、大変だなと思ったのは、コミュニケーションについてです。
マイホームを入手して、引っ越して、そこで長く暮らしていく…それは、様々な人たちと関わって、人間関係を構築していくということでもあります。
ハウスメーカーなどの業者さんはもちろん、新しい住まいでは、近隣の住民ともうまくやっていかなければなりません。
そして何より計画段階で、「どんな家を作るか」「その家でどんな暮らしをしたいか」を家族でとことん話し合わなければ、良い家はできないと思うのです。
我が家もいろいろありました。モデルルーム巡りをしつつ、ちょっとしたことから意見がぶつかって、お互いに不機嫌になることも。
土地選びでも、考え方の違いに悩みました。でも、仲違いしたままでは良い家をつくることはできないんですよね。
お金持ちなら、何度も家を建てることだってできるでしょう。しかし大多数の庶民にとって、建てられる家はせいぜいひとつか、よくて二つ。お互いに我慢や歩み寄りをしつつ、最善の選択をしなくてはなりません。
そういう経験は大変ですが、人間としての成長ももたらしてくれるものではないでしょうか。
「家を建てること」は人間を成長させる
私自身、家づくりを通じて、考えたこともないような課題に向き合い、解決するという経験ができたと感じています。これからの人生をどうするか考える、貴重なきっかけにもなりました。
「家をつくるということは、ライフプランを考えること」だと痛感しました。
「家を建てたら一人前」というのは、「家を建てたら人間的に完成」という意味ではなく、「未熟者でも、家を建てることによって成長できる」という意味なのでしょう。それは確かなことだと思います。
にしても、高い授業料だなぁ…。
マネープランだけはしっかり、厳しく管理することをおすすめします!