相続の複雑化?
非婚化や少子化など、家族のあり方も多様化している昨今、“おひとり様”や夫婦のみの“おふたり様”が増えていますね。こうした方々が亡くなると、相続に関して少しややこしくなります。
子供や親など直系親族がいれば、相続は比較的シンプルですが、そうでない場合……兄弟や甥姪が、相続人としてからんでくるからです。

私にも、おひとり様のおじ・おばがおります。彼らがお亡くなりになると、相続人はきょうだい・甥姪となり、私を含めて10人近くになります(つまり私から見ればおじおば・イトコたちが相続人ということです)。
日頃ほとんどつきあいのないイトコなどと、遺産分割協議をすると考えると、かなりの手間が予想されます。しかも、おじ・おばには資産もなく、下手をすると借金の可能性もあるので、万一の際には私は相続放棄しようと考えています。
そんなわけで、相続放棄について色々調べておりますが、その中で、「それ、知らなかった(怖)!」と震え上がったことがありましたので、書いてみます。おそらく、ご存じない方も多いのではないかと……。
相続する?放棄する?
「○○さんが亡くなったよ」と知った時、相続人は「相続をするか・しないか」を決めなければなりません。故人に借金などがある場合、相続すると返済義務が生じますから、放棄したいですよね?
放棄すると決めたら、3ヶ月以内に相続放棄の手続きをします。これは、他の相続人に「ワタシ、放棄します」と言っただけではダメ。戸籍関係など書類を集めて家庭裁判所に申し立てる必要があります。
ですがその際、この相続放棄が認められない場合があります。「単純承認」と呼ばれるものです。
この単純承認について、かつて私は知りませんでした。
主なものをあげてみますと……。
① 故人の財産を処分してしまった
② 相続発生を知ってから3ヶ月を過ぎてしまった
③ 相続財産を隠した
これね、知らないと誰でもやってしまいがち!と思うんですよ。
単純承認のリスクは誰にでもある
たとえば、おひとり様の親族が孤独死、あなたは警察から連絡を受けて駆けつけたとしましょう。
・故人が住んでいたアパートの部屋を、きれいにして明け渡してくれと大家さんにたのまれて、家財道具を処分した……
・掃除の費用や、故人の未払い金を、故人の銀行口座から引き出した……
・賃貸や電話の契約解除の手続きをした……
・故人のアクセサリーを、形見として持ち帰った……
これらすべて、単純承認とされる可能性、大です!単純承認とみなされると、相続放棄はできなくなってしまいます。
(※中にはグレーゾーンとされる事例もあるので、専門家に確認を!)

故人の持ち物処分、ちょっと待って!
相続するとなったらどうなるか……故人にプラスの財産しかなければよいですが、借金があったら返済義務が発生します。
借金がなくても、自宅や土地など不動産を相続すれば、固定資産税を支払うなど、管理義務が生じます。なら売却すればいい?資産価値があればいいですが、売るに売れない「負」動産だったら、どうします?
もう、これを知った時、私はひざがガクガクしましたね。自分がこういう立場に置かれたら、絶対掃除してしまう。形見だって持ち帰るかもしれないし、契約解除だって、やってしまうかもしれない。そうすることで、結果として、相続を承認したとみなされてしまうんです。意図せずに、ですよ!
もし、自分が相続人となる可能性がある親族が亡くなったら……こんなリスクがあるということを、覚えておく必要があります。
よかれと思って色々動いた結果、思わぬ相続トラブルに巻き込まれるのは、つらすぎます。軽はずみに故人の持ち物に触れるのは危険、と心しておきましょう。
もし実際にそういう事態が起きた場合には、司法書士や弁護士さんなど、プロフェッショナルに相談してから動くことをおすすめします!