長く暮らした場所には魂が宿る?新居への引っ越しはうれしいけど寂しい

角地の家暮らしノート

マイホーム建設前に暮らしていた家

我が家は家を建てる前、戸建ての賃貸に十数年住んでいました。

先日、車で出かけた際に、前に住んでいた家の前を通ったんです。そこには、私たちが退去してまもなく、別な家族が入居したと聞いていました。

その家は、通りから庭が少し見えます。小さな庭に、野菜を育てるときに使う支柱がいくつも立っていました。

秋ももう終わりを迎え、枯れた茎が支柱に頼りなくひっかかっている状態。そろそろ支柱を外して、後片付けをする頃でしょう。

夫がそれを見て言いました。

「あの庭の土は栄養たっぷりだから、きっといい野菜が育ったはずだよ」

狭い庭でしたが、土いじりの好きな夫はせっせと土を肥やし、野菜や花を育てていました。

お隣の奥さんが、「お宅のお花は、どうしてそんなによく育つのかしら」と驚くくらい、夫は土づくりに気をつかっていたものです。

いま住んでいる人も、庭仕事を楽しんでくれているのかな。

家の前には小さな自転車もあったから、お子さんもいるのでしょう。

子ども用自転車

顔も名前も知らないご家族だけど、元気で暮らしているといいな、と思いました。

新居への引っ越しはうれしい、でも…

我が家が新居に移るとき、うれしい反面、やはり長年住み慣れた家を離れるのは寂しかったです。

荷物を運び出し掃除も済んで、がらんとした家…。いろんな記憶がよみがえります。

思い出に残そうと、室内の写真を何枚も撮りました。

そして、これで退去…という時、私はとつぜん、「家にあいさつをしよう」と思いました。

私たちが寂しく感じるように、家にも神様のような存在がいて、寂しく感じるかもしれない、と思ったのです。

私は家の神様(?)に向かって、「今までお世話になりました!これまで守ってくれてありがとう!私たちは新たな住まいで生活を始めます。今度は、新たにここに暮らす人たちを守ってあげてくださいね」と語りかけ、深くお辞儀をしました。

家具類がなくなった家の中は、自分の声がいつもよりも響いて、妙な感じでした。

何もないけれど、私たちの暮らしの気配が残る家。

すぐには立ち去りがたく、何度も振り返りながら、私はその家をあとにしました。

長く暮らした場所には魂が宿る

旧居と新居はあまり遠くなくて、車で10分ちょっとの距離。そのため引っ越し直後は、外出の帰り、うっかり前の家のほうに車を走らせてしまうことも…。

しかしひと月、ふた月と時間がたつにつれ、ようやく新居での暮らしがなじんできました。暮らしの拠点を変えるというのは、やはり大きなできごとなのでしょうね。

角地の家

家の建て替えなどで取り壊しをするとき、家のお祓いをすることもあると聞きました。長年暮らした場所には魂が宿る、という考え方からなのでしょう。

引っ越しの際、私が急に家にあいさつしたくなったのも、無意識にそんな気持ちが働いたのかもしれません。

今はもう、間違えて前の家に行くことはないけれど、やっぱり近くを通ると懐かしい…。ついつい車のスピードもゆっくりになります。

「家」は、人生において舞台装置のような存在かもしれないな…と思います。新たなステージに移った我が家。よい展開になるように、毎日の暮らしをひとつひとつ、大切にしていこうと思うこの頃です。