NHKドラマ『ノースライト』(横山秀夫原作)を見て考える、北側リビングの家

浅間山と月 間取りのヒント

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NHKドラマ『ノースライト』(横山秀夫原作)を見た

先日、NHKの土曜ドラマ「ノースライト」を見ました。主演は西島秀俊さん、ほかに北村一輝さん、宮沢りえさん・伊藤淳史さんなどが出演していたドラマです。

西島秀俊さん演じる主人公・青瀬は一級建築士。吉野というクライアント(伊藤淳史さん)から、「あなた自身が建てたい家を建ててください」という不思議な依頼を受け、長野県の信濃追分に「Y邸」を完成させます。

「Y邸」は注目を集め、青瀬の代表作となりました。しかしその後、「Y邸」に依頼人・吉野一家は住んでおらず、放置されたままであることが発覚。青瀬は、その理由を探ろうと奔走します。

この「Y邸」の謎をめぐって、青瀬自身や、周囲の人々の人間模様が交錯する…それが『ノースライト』のストーリーです。

ノースライトとは

タイトルにもなっている「ノースライト」は、「北側から差し込むやわらかい光」のこと。

「Y邸」のリビングには、北側に大きな窓が設けられており、浅間山の雄大な眺めを味わうことができます。

浅間山と月

ドラマの大道具スタッフが、1ヶ月あまりの期間でセットとして建設したという「Y邸」。独創的な建物の形状、リビングからの素晴らしい眺めが印象的でした。

北側リビングのメリット・デメリット

住宅を作るときには、日当たりのよい南側にリビングを持ってくるのがセオリーでしょう。しかし私は以前、「土地の状況によっては、北側にリビングを持ってくるのも有りなのだ」という話を聞いたことがありました。

南側に交通量の多い道路があるなどして、人目や騒音が気になる場合、北側にあえてリビングを持ってくるプランも考えられるのだそうです。

北からの光は、1日中安定した光となるので、落ち着いた感じになります。直射日光によるまぶしさもなく、家具の日焼けも少なくなります。トップライトや、南からのハイサイドライトで光を入れれば、明るさも確保できます。

また、北側に庭や眺めのいいスペースがある場合、景色が逆光にならず楽しめるという利点もあるようです。

大きな窓で柔らかい光を多く取り込む

ただ、暖かさの点では、北向きリビングはやはりデメリットになるのではないでしょうか。長い時間を過ごすリビングは、温度が快適でないとつらいです。

室温には、換気方式も影響します。一般的な第三種換気だと、寒冷地の場合は、冬に冷たい空気が入ってくるのが気になります。第一種なら暖かい空気を逃さず換気できますが、費用が高くなります。

北向きリビングにできるかどうかは条件次第

北向きリビングを選択するには、やはりいくつかのポイントがあるでしょう。

・温度(建物自体の断熱性や、換気方式)

・光(北窓の面積、南側からのハイサイドライトなど光量を補う手段)

・近隣の状況(北側に建っている隣接住宅との、視線の問題)

以上のようなポイントを考慮したうえで、北側リビングにするメリットがあるかどうか判断することになるのではないでしょうか。いずれにしても、ハウスメーカーや工務店・設計士さんなど、信頼できるプロに相談することが必要でしょうね。

家づくりの本質を考えるきっかけに

ちなみに『ノースライト』原作者・横山秀夫氏といえば、『半落ち』『64』『クライマーズ・ハイ』など社会派ミステリーが有名です。建築をテーマにした『ノースライト』は少し意外な感じがしました。この作品を知ったのは前述のドラマがきっかけですが、「原作を読んでみたい」と思い、新潮社発行の単行本も読みました。

細やかな会話のやりとりで、登場人物の気持ちがていねいに描かれ、それぞれの抱える思いや秘密が徐々に明かされていきます。

ドラマでの映像に加えて、文字で改めて味わうのもいいですね。

物語の鍵を握る「ブルーノ・タウト(ドイツの建築家)」についても、詳しく記述されています。

いい家を建てようと思ったら、「どんな人生にしたいか」「どんな人とどう住むか」という問いと、真剣に向き合うことになります。しかしいざ具体的な家を考え始めると、細かいことに頭がいっぱいになって、そうした本質的なことを忘れがち…。

この本は、何のために家を建てるか、誰とどう暮らしたいかを改めて考える、ひとつのきっかけになるかもしれません。家づくりに興味を持った方なら、一度読んでみてはいかがでしょうか。