自然に還るお墓を……神戸市の樹林墓地計画

暮らしノート

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政令都市で初の、樹林墓地計画

先日、神戸市が「樹林墓地」を整備するというニュースを知りました。

個別の墓石はなく、20年で1600体を埋葬する共同のお墓を、市内の森林公園に設けるとのこと。市によると、こうした墓地を自治体が整備するのは、政令指定都市で初めてだそうです。

神戸市のホームページにも記載がありました。

リンク:
記者発表資料(2025年1月)
新しいお墓のかたち
計画の詳細

いわゆる「墓じまい」の増加に加え、合葬墓や自然志向の埋葬のニーズが高まっていることから、承継を前提とせず、自然回帰志向に応える墓地を整備する、とのこと。

市内の森林公園内に、粉状にした焼骨を土と混ぜて埋蔵し、自然分解を促進。樹木などを個々の墓標にはせず、樹林全体を墓標とみなすといいます。所定の区域に、一定の間隔を設けて順番に埋蔵、50年後に自然山林に戻す計画です。

これを、自治体である神戸市が計画しているということに、驚きました。先進的な試みで、素晴らしいと思います。合同墓・合葬墓を設置している自治体は多いですが、樹林墓地として、市民のやすらぎの場所に設け、いずれ自然に戻すというというコンセプトが素晴らしいです。

「樹木葬」が人気を得ているが

私はもともと樹木葬に関心があり、さきがけである岩手の知勝院も見学しました。自然に還ることができ、自然環境も保護できるという樹木葬を、SDGsの観点からも理想的だと感じます。自分の住む北海道でも、こうした方法が増えないものか……と願ってきました。

最近では北海道でも、樹木葬という言葉をよく聞きます。ただ……知勝院のように自然保護まで見据えた樹林墓地かといえば、どうも違っているようです。ガーデニング手法を取り入れただけの従来墓地?と思われるものもたくさんあります。北海道外でも、同様の状況にあるのではないでしょうか。

だからこそ、神戸市のこの取り組みについて、画期的だと思ったのです。

少子化がすすみ、親族間のつながりも薄くなり、従来の墓地を継承・管理するのは難しくなってきています。墓地も、自然を保ち守っていく、循環型にシフトしていく必要があるはずです。知勝院型の樹木葬や神戸市の樹林墓地というのは、そのための有効な手段の一つだと私は思います。

墓への意識も変わりつつある

かつて北海道で樹木葬の計画があった町では、農産物への風評被害が起きるなどとして反対運動があったと聞いたことがあります。墓地の認可がない場所へ、焼骨そのままで散骨する計画だったなど、理由は色々あったようですが……人の死はケガレと考えられ、忌みの対象という意識も関係したかもしれません。

しかし時代の変化もあり、人々の意識も変わりつつあります。墓所は故人を葬り弔うのみならず、故人とのつながりを確かめる場、癒しの場でもある。そして、生命の再生の場であるべきとも、考えられるようになってきたのでしょう。自然と一体化した墓地のニーズは、さらに増していくのではないでしょうか。

今後の動きにも注目

もし自分の住む街にこうした墓地が計画されたら、私はすぐに申し込むでしょう。
神戸市民のみなさんがうらやましい……。

神戸市の樹林墓地、使用料については、2025年夏頃設定とのこと。どのくらいの金額設定になるものか、注目していきたいと思います。

今後、こうした自治体が続いて出てくるかもしれませんね。私の住む自治体にも、住民の意見として提案してみようかしら。