納骨堂が経営破綻!?
2022年、札幌市内で納骨堂を経営する宗教法人が破綻して、ニュースになりました。
大切な家族の遺骨を預けていた利用者にとっては、大変なショックでしょう。
納骨堂を契約するには、まとまった額の費用もかかったはず。
遺族にとって、精神的にも金銭的にも大きな負担となったことは、想像に難くありません。
令和2年度のデータで、納骨堂は全国で1万3000以上、北海道内には1700以上あるそうです。(厚生労働省 衛生行政報告例より)
雪や寒さの厳しい北海道。冬でもお参りができることから、納骨堂は広く人気を集めるようになったのでしょう。
当初は墓地を造る前の一時預かり的な位置づけだったものが、遺骨の安置場所として、墓地のように長期間利用する人も多くなったようです。
最近は、高級ホテルを思わせるような、豪華な造りの建物もあると聞きます。
死んだらどこへ?
私も、かつては「人は亡くなった後、お墓や納骨堂など、何らかの“家”的なものに収められるのが当たり前」と思っていました。
ただ、年齢を重ねてみて、「本当にそれでいいのだろうか」と疑問を抱くようになりました。
死後の「家」的なものは、自分では管理も処分もできません。後に残される家族などにお世話を託さざるを得ないのです。
子供に管理を期待しても、地元に残るとも限りません。
納骨堂も、個別のスペースを利用する限り管理費がかかり続けます。
その費用や手間が、残された人たちに負担にならないか…。
そう考えると、場所や形にとらわれるのはどうなんだろう…という気持ちになってきたんですよね。
一般的な墓所以外の選択肢
いま私は自分の死後について、個人のお墓や納骨堂ではなく、合葬墓や散骨・樹木葬(里山型)などがいいなと思っています。
自治体などが運営する合葬墓は、経営破綻のような心配がなく、費用も少なくて済むのがメリットです。
(ただ、他の人と遺骨が一緒にされますし、後で取り出すこともできません。そのため、遺族がそれでいいと思えるかどうか、という気がかりもあります)
散骨や樹木葬(里山型)も、一般的なお墓とは違うので、抵抗のある人もいるでしょう。
でも節度をもって行われる限り、自然に還るという点では、最もSDGsに即した形ではないでしょうか。
墓地が増え続ければ、開発による環境破壊も考えられます。
また、管理されない無縁墓も社会問題となっていますね。
死後の居場所は簡素化するほうが、地球にも、次の世代にも、優しいような気がします。
手元供養という方法
一般的なお墓がないと、お墓参りができず遺族が寂しく思う場合もあるかも…。でも最近は「手元供養」という言葉を聞くようになりました。
遺骨の一部を手元に保管したり、アクセサリーなどに加工して身につけたり、という方法です。
遺骨保管用のミニ骨壺や、遺骨の加工を手がける業者さんも、探せば見つかるようになってきました。
ですから、合葬墓などを利用しても、遺骨の一部はお守りのように家に置く・身につける、ということが可能になってきたんです。
デザイン性にすぐれ、コンパクトなミニ骨壺なら、さりげなく暮らしの中に溶け込ませることができます。我が家のように仏壇のない家や、洋風なインテリアのお宅にも合うでしょう。
いろんな選択肢が増えた今、死後の「家」は、立派な墓地や納骨堂でなくてもかまわない。
大切なのは、残された人にとって、心のよりどころと思えるかどうかではないでしょうか。
もうすぐ年末年始。帰省などの機会に、ご家族とゆっくり語り合ってみるのもいいかもしれません。