無落雪屋根とは
北海道ではフラットな屋根をよく見かけます。これは、無落雪屋根と言われ、積もった雪を日差しやヒーターで溶かしてダクトに流すことで、敷地に雪を落とさないようにできるものです。屋根が真っ平らな場合もあれば、ダクトにつながる溝に向かって勾配のついた、断面がM字になるタイプもあります。こうした屋根なら、雪下ろしが不要で助かります。
しかし、まったく雪が落ちないかというと、そうでもないんです。
大雪の後は雪庇ができることも
我が家は以前、無落雪屋根の家に住んでいました。雪はさほど多くない地域でしたが、ひと冬に数回、ドカ雪に見舞われることがありました。ひどい時には一晩で30~40cmほど積もったことも…。
さすがにそうなると、無落雪といえども屋根の上に雪があふれてしまいます。しかも風が強いと、風下に雪庇(せっぴ)と呼ばれる雪のかたまりができます。
この雪庇、屋根からせりだして、非常に不安定な形になることがあります。無落雪屋根だから…と油断していると、くずれた雪庇が落下…!ということがあるので、注意が必要です。
雪庇が落ちると危険
私も雪庇で怖い思いをした経験があります。
以前、雪かき中に、すぐ後ろで「どさっ」という音が…!振り返ったら、バスケットボール大の雪塊が落ちていたことがありました。しかもけっこう凍っていて固く、直撃したら命に関わる大きさでした。思わず身震いしましたね…。
屋根の上でしばらく時間のたった雪は、締まって堅く、重くなります。サラサラの雪なら、雪まみれになるだけで済みますが、かたまりだと超危険!除雪作業は、できるだけ複数人で、お互いに注意しながら行うのが安心です。
雪庇除去時の注意
大きな雪庇があるときは、棒のような雪庇落とし用具で崩すこともあります。
こうした用具は便利ですが、いくつか気をつけるべきことがあります。
まず、真下からつついて落とさないこと。雪庇が落ちてきて下敷きになってしまいます!
それから、脚立やはしごなどに乗った状態で、雪庇落としの作業をしないこと。不安定な状態での作業は危険です。
また、逆に屋根に上って、上から落とすこともあるでしょう。その際には命綱をつけるなど万全な対策をとることが必要です。しかし、毎年のように雪下ろしがらみの死亡事故があるんですよね…。
雪おろしは無理をせずに
先日北海道内のローカルテレビ番組で、雪おろしに関する特集をやっていました。
大雪のあと、すぐ雪おろしをしなくては…と心配になりますが、たいがいの住宅は問題ないそうです。
建築基準法では、市町村別に「建物が耐えられる積雪量」の目安が定められています。これは「50年に一度の大雪」を想定してつくられたもの。
たとえば札幌市なら、一部をのぞいて140cmまで大丈夫、とのこと。「1m程度の積雪なら、雪おろしをしなくても建物の強度上問題ない」と言っていました。この基準を超えるほどの大雪が降った場合、あるいは老朽化した建物や、建築基準法外の建物(農業施設など)でつくりが弱いものをのぞけば、無理に雪おろしをする必要はないそうです。
北海道内で雪の事故による死傷者は、年間300人ほどになると聞き、驚きました。
雪おろしは業者さんにお願いするなど、無理しないのも大切だと思います。